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軽貨物 下請けに長居しすぎるな|直接営業の重要性

ハコマネ編集部
軽貨物 下請けに長居しすぎるな|直接営業の重要性

軽貨物事業を始めるとき、知人の業者の下請けからスタートするケースは多い。仕事が安定して入ってくるし、営業しなくていい。でも、その構造に依存し続けることには思った以上に大きなリスクがある。

この記事では、下請け依存の何が危険なのか、どう脱却するのかを実体験をもとに整理する。

この記事でわかること

  • 二重手数料構造で実際に手元にいくら残るか
  • 横のつながりに潜む持ち逃げリスクの実例
  • 直接契約を取りに行く具体的なアプローチ
  • 「スジ」が固定化されると経営の選択肢が狭まる構造

二重手数料の構造:¥20,000の仕事がいくら残るか

結論: 下請けで入ると、手数料の「二重搾取」が起きる。ドライバーへの還元が極限まで薄くなる構造だ。

仮に単価¥20,000の案件を受けるとする。

  • 元請け業者があなたに発注:¥20,000 × 0.9(10%抜き)= ¥18,000
  • あなたがドライバーに支払い:¥18,000 × 0.9(10%抜き)= ¥16,200

¥20,000からスタートして、ドライバーには¥16,200しか届かない。手数料率が少し高くなれば手残りはもっと少なくなる。

ドライバーからすれば「この会社、取り分多すぎじゃないか」と感じるのは当然だ。管理者がいくら「業界の構造上こうなっている」と説明しても、現場で毎日顔を合わせる関係では納得してもらいにくい。採用コストをかけて確保したドライバーが、手取りの少なさを理由に離れていく——これが下請け依存の一番痛い代償だ。

横のつながりに潜むリスク:¥1億超の持ち逃げ事例

結論: 「横並び」の配送業者からの仕事は、取引先の信用リスクがそのまま自社に波及する。

業界内の横のつながり、いわゆる「横並び」から仕事を受けるケースもある。フードデリバリーや単発案件でよくある形態だ。

直近でも、某フードデリバリーの参加業者が2ヶ月分の売上を持ったまま行方をくらました事例があった。被害総額は5,000万円超と報じられている。

この手の事故が怖いのは、自社のドライバーが稼いだ分のお金が、取引先の経営判断ひとつで消えるという点だ。荷主との直接契約なら支払いが滞れば荷主に直接交渉できるが、横並びの業者が飛んだ場合、回収はほぼ不可能に近い。

慢性的なドライバー不足・EC需要の拡大という構造の中で「仕事は足りている」状況が続くと、リスクの高い受け方でも惰性で続けてしまいがちだ。

直接契約は意外と取れる:大手でも立ち上げ期から狙える

結論: ヤマト・佐川・郵便局・SBS・アスクル・丸和運輸機関などは、立ち上げ期でも直接契約に応じてくれることが多い。

「小規模のうちは荷主と直接契約なんて無理」と思い込んでいる管理者は多い。だが実際にはそうでもない。

大手の荷主は慢性的なドライバー不足に悩んでいる。1社でも多くの配送パートナーを確保したいのが本音だ。ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便・SBS・アスクル・丸和運輸機関といった大手は、立ち上げ間もない事業者でも直接の業務委託契約に応じてくれるケースが実際にある。

単価は横並びの案件より高くないことも多い。ただし、必ず支払われるという安心感がある。 取引先の信用リスクが極限まで低い。これは経営の安定という観点では、単価の数%より重要なことだ。

業界には「筋」というものがあり、下請けで入った荷主に後から直接営業するのはNGとされている。だからこそ、最初から直接接触できる荷主を自分で探して動く方が、長期的に見てずっと合理的だ。

エリア外案件の委託:単価の確認だけは必ずやれ

自エリア以外からドライバーの応募が来たとき、仕事は取りたいが自分では現場管理できない——という状況はある。この場合、そのエリアを担当している横並びの法人にドライバーを預かってもらい、管理を委託するのはありだ。

ただし、委託する前に必ず確認しなければならないことが一つある。

「その法人が自社のドライバーにいくら払っているか」を把握すること。そして、自分が送り込むドライバーにも同じくらいの金額を支払うよう取り決めること。

同じ現場で、同じ仕事をしているのに、自分だけ手取りが低い——これはいつか必ずドライバー同士の会話でバレる。遠いエリアを自分の目で見られない状況では、支払い金額の差が不満の火種になっても気づけない。現場を見ずに性善説に頼った管理は、長期的には必ず崩れる。

委託する法人に「自社ドライバーへの支払い単価を教えてほしい」と言えない関係なら、そもそも委託してはいけない。

「スジ」が積み重なると、一生その場所に縛られる

業界には「上超え禁止」というルールがある。自分がもらっている単価を超えて仕事を受けてはいけない、というものだ。

だがもっと本質的な問題がある。仕事を受け続けるほど「スジ」が積み上がり、身動きが取れなくなるという構造だ。

具体的に言うとこういうことだ。ある法人の二次受けとして入り、その経由でヤマト運輸の現場に入ったとする。その後、同じ現場でヤマトに直接営業して一次受けに切り替えようとすると「スジが違う」となる。最初に仕事を回してくれた法人の頭越しに荷主と直接契約するのは、業界の仁義に反するとみなされるからだ。

これが積み重なると何が起きるか。仕事を受けたエリアごと、現場ごとに「この荷主には直接行けない」という制約が増えていく。気づいたときには、どこへも直接営業できない状態になっている。

ルールそのものを責めても仕方がない。ただ、早い段階で自社の直接営業ルートを確保しておかないと、構造的に下請けから抜け出せなくなるということは理解しておく必要がある。管理者ができることは「スジを作る前に動く」、それだけだ。

結論:直接契約の比率を上げることが唯一の解

  1. 手数料の二重搾取がなくなる → ドライバーへの還元が増える → 定着率が上がる
  2. 取引先の信用リスクが下がる → 持ち逃げ・倒産の影響を直接受けない
  3. 大手は立ち上げ期でも直接契約に応じることが多い → 単価は高くなくても支払いは安定する

下請け依存は「仕事が安定して入ってくる」という安心感がある。だがその安心は、見えにくいコスト(手数料・信用リスク・ドライバー離脱)で払われている。

自社の営業で一次受けの比率を少しずつ上げていく。それだけで、経営の安定度はまったく変わってくる。


よくある質問

Q: 下請け先の荷主と直接契約に切り替えるのはNGですか? A: 同じ荷主への直接営業は業界ルールとしてNGとされています。ただし、下請け先と関係のない荷主への営業は問題ありません。最初から直接接触できる荷主を自分で探すことが重要です。

Q: 大手との直接契約はどこに問い合わせればいいですか? A: ヤマト・佐川・郵便局などは各営業所、SBS・アスクル・丸和運輸機関などは本部の協力会社窓口に問い合わせるのが一般的です。「業務委託先を募集しているか」と直接確認するのが早いです。

Q: 委託した業者への確認はどこまで必要ですか? A: 最低限「ドライバーへの支払い金額と支払い明細の共有」を求めてください。これを確認できない業者への委託は避けることをおすすめします。

このメディアについて

120名のドライバーを動かして、年間700台の故障を見て、それなりに喰らってきました。その経験から、これから事業拡大を目指す軽貨物管理者の皆さんにとって、失敗も成功も、これまで私がやってきた中で見えてきたことを書いています。

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